小川隆吉エカシを偲ぶ会

小川隆吉エカシが去る2022年7月25日に慢性腎不全のためご逝去されました。享年86歳でした。この度、「小川隆吉エカシを偲ぶ会」を下記の通り執りおこなうことといたしました。ご参列くださいますようご案内申し上げます。なお、追悼メッセージを募り、当日に配布させていただきます。

小川隆吉エカシを偲ぶ会

終了しました。

日時:2022年10月31日(月)午後6時〜8時

入場料:無用です。どなたでも平服でご参列ください。

会場:北海道大学・学術交流会館

北海道札幌市北区北8西5/正門より入って左側2棟目・JR札幌駅北口より徒歩10分

共催 北海道大学東アジアメディア研究センター、北大開示文書研究会


おわび 当会主催の「偲ぶ会」を当初、「11月26日、北海道クリスチャンセンターで開催予定」と告知しておりましたが、諸般の事情により、日時と会場を上記のように変更しました。閲覧くださったみなさまにご迷惑をおかけしましたことを深くお詫びいたします。(2022年10月8日、北大開示文書研究会)


お問い合わせ ororon38★hotmail.com (三浦忠雄あて、★を@に変えてください)


追悼 小川隆吉エカシ

小川隆吉エカシが逝去された。享年86歳。体調悪化で入院と聞き、いつかはその日が来るのかと覚悟しながら、実際別れになると無性に寂しい。葬儀は家族で済まされた。ご自宅に行くとお骨箱の隆吉さん、アイヌの信仰ではポクナモシリに往くのだそうだ。私は僧侶なので早苗さんにお願いして読経した。隆吉さんに出会ったのは1970年代後半だろうか。

1979年7月の空知民衆史講座のゲストは隆吉さんだ。87年4月、私は隆吉さんと北大のアイヌ納骨堂に入った。1000体余りの青いプラスチックケースに入ったアイヌ人骨。隆吉さんは、必ずここから遺骨を取りもどすと言った。その時は夢のように思ったが、30年後の2016年、裁判の結果、隆吉さんは直系の先祖の遺骨を含む12体のアイヌ遺骨を取りもどし、杵臼コタンの墓地に再埋葬した!

あの時の隆吉さんのはじけるような笑顔が忘れられない。韓国の友人鄭炳浩さんを紹介してくれたのも小川夫妻だ。97年夏の日韓共同ワークショップでカムイノミをしてくれた。隆吉さんのお父さんは朝鮮人だ。私も一緒に隆吉さんのお父さんを探しに韓国に行ったがみつかることは無かった。隆吉さんは瀧澤正さんの構成で自伝『おれのウチャㇱクマ』を寿郎社から出した。表紙の帯には「大日本帝国が生んだアイヌの半生」とある。父親は強制労働の現場からアイヌコタンに逃げたのだろうか、隆吉さんを残して朝鮮に帰った父から連絡はなかった。朝鮮から迎えに来た息子は冬を迎える小川家の庭で黙々と薪割りをしてから帰ったそうだ。隆吉さんの生涯は大日本帝国に刻印されながら、その植民地主義とたたかい、アイヌ民族としてひたすら生き抜いた一生だった。

運動を共にした者はいつも隆吉さんの底抜けの笑顔に励まされた。隆吉エカシが先鞭をつけたアイヌ先住権のたたかいは浦幌のラポロアイヌネイションに引き継がれ、サケ漁業権確認裁判が進行中だ。必ずアイヌ民族全体のたたかいへと広がるだろう。隆吉さん、お逢いできたこの世のご縁に感謝します。私ももう少しの人生ですが、隆吉さんはポクナモシリでゆっくりやってください。いつか先住権でいい報告ができるといいですね。

殿平善彦(北大開示文書研究会共同代表)


No.31 2022年8月21日発行

小川隆吉さん「北大には実態解明の責任がある」

2012年9月14日、札幌で開かれたシンポジウム「さまよえる遺骨たちPart2 アイヌのお骨はアイヌのもとへ 〜遺骨返還訴訟と象徴空間計画」での発言。